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<たけのこのあく抜き>えぐみを感じる現象とあく抜き比較実験

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春。この季節は毎年「えぐみ」で悩む。

調理してみたら、のどがいがいがする強いえぐみがあって、(ひえぇぇぇぇぇ、、、!)という経験を何度も。で、季節が過ぎると忘れてしまう。そしてまた春に、(ひぇぇぇぇ、、!)てなる。

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ことしはたけのこがたくさん採れるようで、

今年こそは、、!ということで、えぐみについてちゃんと勉強することに。

まだまだ調べたらない部分もあるので、参考程度にどうぞ。

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まず、(なぜ、えぐみあるんよ、、!)てこと。

ひとつとして、「植物が外敵から自分を守るため」です。

動物や虫に、なんでも美味しくむしゃむしゃ食べられていたら、子孫繁栄は難しい。

えぐみがあるって、煩わしく感じる事もあるけれど、

種をつないで生きている植物から栄養を頂くというか。そうしたことを感じたりする。

あく抜きは、「植物にとって丈夫に生きていく状態から人間が食べやすいように加工する工程」だなぁと思う。

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さて、前置きが長くなりました。

ここで話すことは、

①. たけのこのあくの正体、なに?

②. あく抜き、なにがどうちがうかしら?

です。あく抜きは、米ぬか、重曹、米のとぎ汁、大根おろし(最近はやりみたい)で比較しました。

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①. たけのこのあく。

あくにも色々種類があるので、ここではたけのこについて。

シュウ酸とホモゲンチジン酸。

なんでこのふたつを食べると喉や舌がひりひりするか。

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「物理的刺激」。

ほんとに、刺さってて、痛い!ってことです。

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シュウ酸は、唾液成分中のカルシウムと結合してシュウ酸カルシウムになるってよく言われている。

これが針状結晶。(絵、参照。始めたばかりのペンタブ、ご容赦下さいましし。。)

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ホモゲンチジン酸もしらべたけれど、これも針状結晶。(他の結晶状態もあるみたいだけどもも~)

これら細かい結晶が無数刺さってる、イメージなのかな。

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(筍のなかの)シュウ酸+唾液中のカルシウム → シュウ酸カルシウム(針状結晶)→ささる!

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(筍のなかの)ホモゲンチジン酸(針状結晶)→ささる!

ちなみに、シュウ酸カルシウムをググるとこんな感じ。これらが舌やのどに刺さっているのかと思うと、痛い。。。

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②. あく抜き なにがどう違うのかしら。

この、針による痛みをなんとか逃れたい、、!と考えたとき、

できることとしたら、

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 1. 針を溶かして無くしてしまえ、、!

 2. なにかにくっつけよう~そしたら喉にも当たらないかな。

 3. 針があっても、喉にあたらなかったらいいんじゃない?!

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みたいな戦法がある。

1 → 重曹、2 → (米ぬか、米のとぎ汁、大根おろし)

(3はまたちょっと後で)だなぁーと思った。

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調べてみると、あくの成分であるホモゲンチジン酸は強酸や強アルカリに可溶。

重曹は、アルカリ性。ばっちりではないけど溶かす効果あり。

(米ぬか、米のとぎ汁、大根おろしは、弱酸性~中性)

候補的に、(重曹がいちばんあくを取るのはもってこいなのかしら)、という予想。

でも、なんで米ぬかが主流なのかも気になるところ。

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(シュウ酸は水溶性なので、湯がいたら抜けるのかな、とおもた。ただ、細胞内でシュウ酸カルシウムになっていたら、強酸でしか溶けないからなかなか溶かすのは難しいかも。)

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ホモゲンチジン酸(針状結晶)重曹で溶かしたら、喉や舌に刺さらないんじゃないか。

さて、そんなこんなで実験。

朝採れの練馬産たけのこ。少し根元を切って生のまま食べてみると、

はじめは甘みを感じて噛んでいくほどに舌に少しずつ刺激。飲み込むと喉にもいがいが。

実験用のたけのこは、この一本で。

ちがうものだとあくの強さ等も違うので、ひとつを縦に8等分して使う。

(縦なのは、穂先と根本であくの強さとか甘みなどが異なるため。根本は根元どうしで比較したい)

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左から順に、米のとぎ汁、大根すりおろし+水、米ぬか+水、次の写真が重曹水(100gの水に1gの重曹)。これらは、煮たりせず、そのまま放置でどうなるか。

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こめのとぎ汁、大根おろし、米ぬか。

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重曹水

次は煮るもの。米のとぎ汁、米ぬか+水、重曹水。

水が冷たい状態から入れて、沸騰したらことこと柔らかくなるまで煮る。そのあとしばらくそのまま放置。(ここに、大根おろしがいないのは、ネットによると酵素によってあくが取れるので加熱しないとのことだったため)

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米とぎ汁

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米ぬか

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重曹水

あとは比較ができるようにそのままのものも。

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そのまま

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さて、結果です。

先に結果の表を貼り付けますね。

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(◎>○>△>×>××です。◎に相当する×がなかったので、××に。)

この後は、考察を含めたそれぞれの結果を書いていきます。

大凡、1時間後。1日後、2日後。かじってたべた。

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○ 結果

● 非加熱のものたち。

(その後の写真撮り忘れました、、すみません。写真ははじめのものと一緒。)

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米のとぎ汁、大根おろし、米ぬか。

それぞれ、食べてみる。どれも食感、繊維がしっかり。細胞の中に水分がたっぷり含まれているような。パキッとする。噛んでいると甘み。香りがゆたか。そのあとからじわじわとえぐみ。

大根おろしは、大根の甘味と香りがはじめにする。

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3つとも、あく抜きができているか、というと、うーん。。というところ。

1日後、2日後、も同様に食べてみたけれど、食べたあとの喉のひりひりがあり。だんだん抜けている、という感じはない。(大根おろしはもっと濃度高くしたら効果あったのかな、検証せず)

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重曹水

これはね、まえの3つと比べると、えぐみが少ないような、、!ちなみに効果が出てきたのは1日以降。でも完全にえぐみがないかといわれると、あります。(薄く切ったら変わるかも!)

(でも、これ、使える!って思った。食感を残したい(煮てやわらかくはしたくない、、!)、けどえぐみを取りたい!というときにいいかも。→ のちの応急措置法を思いついたのはこの実験から)

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えぐみあんま取れないだなぁ、、と思って、このそのままのものを食べると、(1day以降)

たべたそばからもう強い刺激、、、!ひーーー!これと比較すると上記4つはあく取りできてるわ。

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ホモゲンチジン酸はもともとチロシンで、酸素を媒介として酵素反応でホモゲンチジン酸になるみたいだから、そのままの状態で置いておくのとなにか水にでも漬けておくのではだいぶ違うようだ。(そのまま放置の場合、シュウ酸もそのまま存在するしなぁ、)

ただ、

(そのままと比較してあくが抜けてる!)≠(食べやすいほどまであくが抜けている)

なので、実験続けます。

また、なんで、非加熱だとあくが抜けにくいのか。。

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「しっかりとした細胞壁があることで、

外から加えたものたちがなかの物質に影響を与えにくいから。」

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だと思う。(ちなみにホモゲンチジン酸やシュウ酸はほとんど細胞内の液胞に貯蓄されているかと。細胞内のまたその中の組織中にあるものが、外のものと反応しあうことは難しい)

重曹水だけあく抜き度合いが△、だったのは、アルカリ性は組織を溶かす効果があるんですね。(浸透圧の効果もありそう)だからほかの3つと比較して、重曹水は中に入っていけたんかな。

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あと、だいこんは酵素によりえぐみを分解、と見かけたけれど、

酵素は、物質ごとに必要な酵素って違うので、この見解は違うのかなと思った。でも、大根のでんぷんによるこれらえぐみ成分の吸着効果はあるかと。(のちに記載)

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つぎに

● 加熱の場合。

おおおーーーーやはし、これらはあくが抜ける!!すごいーー!

米のとぎ汁、米ぬか、重曹、それぞれの特徴も出たので報告します。

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加熱後 米のとぎ汁

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加熱後 米ぬか

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加熱後 重曹水

どれもえぐみがぬける。

体感的な抜け度合いから言って、

重曹 > 米ぬか > 米のとぎ汁

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でした。でも、美味しさは、

米ぬか > 米とぎ汁 > 重曹

だったかな。たけのこらしい香りの強さは、生のときの方が強くて、

米ぬかはまた別の美味しさというか甘みというか、あれ!これもおいしい香り!と思った。

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それぞれの特徴としては、

 米ぬか・・香りが美味し!噛んでいるとあとから少しのえぐみ。

 米のとぎ汁・・香りは減る。少し水っぽく感じる。噛んでいるとあとから少しのえぐみ。

 重曹・・あく、ほぼ感じない。けど、味とか香りもだいぶなくなる。食感を愉しむ、みたいな。

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* 重曹で加熱のこと

そう、やはり、アルカリ性の重曹はあくの成分も溶かすので、あくを感じさせないのだけれども!

ほかの美味しい香りだとかの成分たちも流出、してしまっているのだわ、、!

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と感じた。他の2つよりも組織を軟化させる強さもあり。ぐつぐつ煮ていくほどに、組織から色々と出やすい環境、かつさまざまな成分が溶解や分解、それがゆえ大量放出、、!している気がする。なんかいろいろと失った感。

あ!そして、ちなみに私は誤ってアルミ鍋で煮てしまって。鍋の色が変わってしまったの。とほほ。

重曹で加熱する場合は、そこも気を付けてね。

あつあつのたけのこを出す時も!アルカリってたんぱく質を溶かすので、指先の手荒れにつながります。

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これね。重曹であくの成分の針状結晶が溶けた!けどともに他の成分もいなくなってた。。

* 米ぬかや米のとぎ汁で加熱のこと

米ぬかや米のとぎ汁は中性~弱酸性のため、あくの成分は溶かすことはできないので、あの針状結晶として残ったまま。ですが、でんぷんがこれらの針を吸着する効果があり、そのおかげで喉や舌に針が刺さりにくい。えぐみは少しのこるけれど、美味しい香りは重曹よりも残る傾向。

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(化学の話。なぜくっつくか、はたぶん、シュウ酸カルシウムもホモゲンチジン酸も水酸基や酸素基があるので、多糖のそれらと水素結合しやすいから、かなぁと思った。もしくはもう粘性で取り囲んでしまう、てきな物理的な要因か。)

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針状結晶のホモゲンチジン酸(やシュウ酸カルシウム)がでんぷんとくっつくと、、

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舌やのどに針状結晶が刺さりにくくなる!→ えぐみを感じにくくなる。(米ぬかやとぎ汁が該当)

米ぬかで炊くと美味しいのは、

「米ぬかの香りがたけのこに入っていくから。」

だなぁと思いました。米ぬかって、そのまま食べてもほんのり甘くて、美味しい。

(煮てるとなんて美味しい香り!)成分的に言うと、米の外皮なので、本当に栄養豊富。

たんぱく質、脂質、無機質、炭水化物、本当にバランスよく色々と含まれている。

中でも、たんぱく質と脂質は香りのある分子が多く、

これらと一緒に煮るので、筍のなかに香りが入っていきやすい。と考察。また、言い換えると栄養も加わるってことだなぁ、と。

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米のとぎ汁だと、これらにあったようなたんぱく質や脂質は少ないので、香りが少なく、

たけのこから香りが出る一方になってしまう → 香りが減る。水っぽく感じる。

だなぁと。

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あくを抜くことに気を取られがちだったわたし、、

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\\\\美味しい香りを保持することは、とても大切///

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【米ぬか】香りは抜けるが米ぬかから入る 【とぎ汁】香りが抜けていく 【 重曹】香りめっちゃ抜ける

そんなこんなで、

米ぬかの凄さを知ったのでした。それからというもの、煮るときは米ぬかです。

米ぬかを入れて野菜を煮たりしてもうまみになるんじゃないか、とも考えた。今度やってみる!

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筍、どう煮たか書いておくね。

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〇 米ぬかを使って筍を煮た

1. たけのこの穂先を切り落とす*1

2. 皮は剥かずに、縦にグッと切れ目を入れる*2

3. 根本のいぼいぼ気になるひとは落としてね*3

4. みずと米ぬか入れて火にかける。

5. 沸騰すると溢れるので注意。沸いたら弱火にして、好きなかたさを目指して煮る。20分~1時間。火を消したらそのまま冷めるまでしばらく放置。

(えぐかったら、応急措置(次、参照)する)

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それぞれの補足。

(*1. ここ、食べれるところなくて。鍋にもこれで入った、、!)

(*2. 加熱により、細胞の半透性が失われて分子の行き来がしやすくなるため、皮の香りが加熱の間やあとに可食部にうつる、って本当あるかと!(検証はしてない)。また、切れ目に関しては、外皮も可食部も繊維が硬いから切ることでなるべく米ぬか成分が中に入るように。切れ目入れずにやったら、やはり中心部分のあくが抜けにくかった。)

(*3. ここ、たぶんアントシアニンなんだけど、水溶性の紫色素で、加熱していくとじわじわこの色が浸透して、ちょっと色悪くみえたりする。茶色っぽいというか)

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米ぬか、すごい、、!

また、

○応急措置方法

一度茹でたけど、あれ、根本はあくないけど、穂先に近い方はえぐ、、、!

とか、1日経ったら、あれ、えぐ、、、!

ということも。

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それなのに、じかんないわーーーー!

とか。

そんなときは、

「薄切りにしたものを重曹水に漬けましょう」

時間がないとき・・・加熱した重曹水(1%くらい)沸騰前に止めて、切った筍入れて10分ほどおいておく。ざるにあげて水で洗う。(ぐつぐつ煮ないのは、なるべく香りを残したいため)

それでもえぐみあるわ、というときは加熱して煮てみよう。(それでも、、だったら重曹増やしたりね)

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これは、実際に仕込み時にやってみたこと。味を確認したら、穂先のほうはえぐみがある。

ひー!ということでやってみたら、うん!えぐみとれたー!でした。わーい

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また、この方法は、食感や生に近い香りを残したいときとかにも、使えるかも。

生のまま、もしくは時間を短めにあく抜きで茹でた筍。それを使う大きさに切って、重曹水(冷たいまま、もしくは温かいもの)に漬ける。

「煮る、と重曹水」をうまく使えば、あくの心配をせずに(途中、あくを強く感じたらちょっと重曹水に漬けたらいいので)、好みの食感や香りのものを目指して色々試せるなぁ、、!と思いました。

写真でのおさらいはこちら↓

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穂先のほうと根本と分ける。

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重曹1%くらい入れた水を温める

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温めた重曹水に切った穂先の筍、入れて10分ほど。

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ざるにあげ、水洗いして、できました!

(重曹で煮ると、黄色が濃くなる。皮に近いところに黄色い色素がいて、重曹によって組織が軟化して、内側の組織にも色素が移動してるんだと思う。米ぬかやとぎ汁だとここまではっきりはならず)

そうそう、そして、

戦法3です。

「とにかく針が喉や舌につかなきゃいいんじゃない、、?!」です。

これは、夜ごはんで出してて、

(あれ、、芋類と合わせると、なんだか筍のえぐみを感じにくいな、なんでだろー)

と先に感じていたこと。

でも、これもでんぷんによる吸着によるものだったのかも、!と後から気付きました。

このときは、朝採れたけのこを生のまま使っていました。多少、えぐみは出てきていたのですが、

里芋のマッシュと春巻きにしたら、えぐみ、、感じない、、!

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たけのこと里芋と菜の花の春巻き

次に、たけのこを生のまま、あんかけにしたら、さすがにこれはえぐみが出てきて。

(うぬぬ、、、!どうしよう、、!)なって、里芋のペーストのこと思い出して、ハンバーグの間に薄くはさみました。やっぱり、あくを感じにくくなったんですね。

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筍と長ねぎのあんかけ 鶏肉ハンバーグ(間が里芋マッシュ)

里芋やじゃがいもなどのでんぷんによる吸着以外に、

「油で針状結晶をコーティングする」

というのも。

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揚げてみた

揚げたてをたべたとき、

(わ、、、!!あく抜けてるやん!!!めっちゃ香りいいし、美味しい!!!)

とテンションだだ上がりだったのですが、

冷えてから食べてみたら、(え、、、!あく、、、、、!!!)となった。

あげたてはしっかり油でコートされてたのかもなぁ、と。時間が経って、あぶらがおちて、針状結晶が舌やのどにささりやすくなったんじゃないかと。

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〇 まとめ

 米ぬかで煮ると、甘さと香りが加わり、あくもぬけてよかった!

 重曹水は応急措置や食感を残したい時に有効!

 でんぷん質の多い芋類はえぐみを軽減させる。

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大切なことは、

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「そのとき、何をいちばん残したいか。であり、

それによって、処理方法を選ぶこと。」

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香りと食感を残したい → 米ぬかで軽く茹でて重曹水、生のまま重曹水、

あくをしっかり除きたい → 重曹で茹でる

香りはできるだけそのままがいい → 米ぬかで茹でる、もしくは生のまま使って芋類と合わせたり

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などなど。

上記に挙げた内容を色々と組み合わせてやってみると面白いかも。

(実際にいま色々とおためしちゅう)

ことしはあくについて調べたり実験したり、それを調理に生かしたり、組み合わせてみたり。いろいろできてよかった、、、!

来年からは(えぐ、、、!どうしよう!)から免れそう。よし!!!

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