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白米を美味しく炊きたい。炊飯時の現象について

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ごはん。キャンプに行ったとき、卓上コンロを使って豆ごはんを炊いたのだか、全然上手に炊けなかった。ぱっと見、おいしそうなのに、米の中心は硬い。手順も火加減も水の量も、家でやるようないつも通りにしたのだ。はて、なぜだったのか。。

忘れかけたころ、また同じことが起きた。いい機会なので、「美味しく炊くとは」について学びました。原理が分かると、あのときの失敗の理由がよーくわかる。

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これです。このあと、いまいちだったんだよな~

さて。まず、「上手に米が炊けた!」って実際に米がどんな状態か、ということ。

それは、「米のなかのでんぷんが十分に水を含んで膨潤した状態」かなぁと思う。ちょと、でんぷんとは~?水を含むとは~?を詳しく話しますね。本題に入るまで長いので、章別けしますね。好きなところ読んでくだしい。

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1.でんぷんとは

1.1. 構造

でんぷんは栄養学的にみると、ひとのからだのなかで分解されてエネルギーとなるもの、分類として炭水化物です(でんぷんを蓄える植物自身にとっても大切なエネルギー源)。穀物や豆類に多く含まれる。同じ名称の「でんぷん」でも、植物によって粒の大きさや形状、粒径の均一さ、などは異なります。たとえば、下記の表を見ると、小麦はちーさな1μmとその約40倍のサイズの39μmのサイズのでんぷんが混在しているのに対して、米は1~4μmの割と均一でちーいさなでんぷんだけで構成されている、みたいな感じです。

表. 各種植物のデンプン粒のサイズと平均サイズの分布
     材料    分布(th) 平均サイズ(μm)
レンコン   59.0 – 2.3   23.5
ヤム芋    39.2 – 2.3   16.1
サツマイモ  39.2 – 3.4   13.4
キャサバ   29.9 – 3.4   12.0
アズキ    59.0 –13.3   33.1
トラマメ   51.5 – 7.7   22.4
エンドウ   44.9 – 5.8   20.1
オオムギ   39.2 – 1.0   14.3
コムギ    39.2 – 0.7    9.8
トウモロコシ  7.7 – 1.9    3.2
コメ      3.9 – 0.5    1.1
ドングリ   19.9 – 2.6    5.2
クリ     34.3 – 1.5    8.0

Hanjun Tang et al. ( 1998) 植物起源の異なるデンプン粒の諸性質
近畿大農総研報8:83~89.

そう、おこめのでんぷんは小さくて、しかも細胞にかなりびっしりが詰まっている。通常でんぷんのかたちは丸いのですが、おこめのでんぷんは細胞内に詰まりすぎてて丸い形状を取れないほど(小さな容器にしゃぼん玉を何回も拭くと多角形になる、そのようすと同じ現象です。ほんとは丸になりたいのに、ほかに影響されて丸になれない。(他の結晶に影響されて結晶状態を取る「他形」状態。一方で自然そのままの結晶を「自形」とよぶ))。

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このでんぷんの構成要素は、アミロペクチンとアミロースという、多糖分子。アミロペクチンは木みたいな枝分かれがたくさんで、アミロースは紐みたいな分子。主食とする白米にはこの分子が大凡 8 :2の割合で含まれていて(もち米はアミロペクチン100%)、たくさんのそれらがぎゅっときれいに整列して(これを結晶化という)、大きな丸い形状を取る(=でんぷん)。調理に関していえば、このでんぷんの最大の特徴は、「水を吸って膨潤すること」だとおもう。

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でんぷんはアミロペクチンとアミロースがぎゅぎゅっとまとまることで出来てる。

1.2. 性質

そう、でんぷんは常温では水を加えてもそのままですが、加熱するとぐんぐん水を吸うのです。

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(ちょっと脱線ですが、なるほどーと思った好きな話をここに。この水に溶けない性質は植物が生きる上ですごく重要だったんですね。移動して獲物を捕らえて新しいエネルギーを採取できない分、光合成によって生成できたエネルギー源を上手に体内に貯めて、使う時に少しずつ使う。これがもしもグルコースなどの水に溶ける単糖の場合、たくさん細胞内に貯めようとすると液内の浸透圧が変化し、結果として細胞にストレスを与える為、少量しか貯められない。よって、効率よくエネルギーを得るのに不溶性のでんぷんが良しと(日本植物生理学会、みんなの広場より)。すごく、納得。)

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アミロペクチンも、アミロースも、きちんと整列した状態(結晶状態)から、加熱によってぐわわっと構造が開いていくのですが、このひとつずつの部分は水分子をくっつきやすい性質があります。(化学的に言うと側鎖にOH基をたくさん持っているため)。

(アミロースやアミロペクチンに水分子がぐんぐんくっつく)

⇒(でんぷんが膨張する)言い換えると、、(でんぷんが水を吸う) 

ということ。アミロペクチンやアミロースが加熱によって、ぐんぐん水分子をくっつけると、次第にでんぷんはぐんぐん膨張します。(臨界点に到達後も加熱を長く続けると、丸い形状を保っていられなくて、崩壊します。どろーーっと。)

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加熱をすると、アミロペクチンやアミロースに水分子がくっつく

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もう少し拡大してみると、こんな感じです。

(加熱によりアミロペクチンなどがぐんぐん水を吸う)=(でんぷんが ぶうぅぅぅ と膨らむ)

2. お米のでんぷんをしっかりと膨潤させたい

さて、この水を加えて加熱すると膨らむ効果。いったいどの温度でしっかりと膨らむのか。米の場合、品種などにも寄りますが60℃くらいからぐぐっと水を吸って膨らみ、最大に膨らむのは95℃ほど(下の図の粘度曲線を参考に。でんぷんが膨らむ = べたっとして粘度が増す デス)。

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でんぷんの粘度曲線。

60℃くらいからグッと上がり、95℃くらいで最大となる。

この、「95℃ででんぷんがしっかり膨らむ!」が実は炊飯でとても大切な知識になります。はじめに話したように、(ふっくらお米が炊ける)⇒(お米の主成分のでんぷんがよーく膨らんでいる)であり。その状態になるために必要な温度帯を知ることはとても大切。逆に言えば、その温度を知っていれば、ほとんど失敗がなくなるのです。

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95℃くらいで、でんぷんはよく膨らむ。これは炊飯でもとても大切。

3. 美味しくごはんを炊く

「沸騰まで8分, その温度を保ち10分, 蒸らしで10分。鍋のなか95℃の状態を20分保つこと!」

これは、炊飯の科学的なものを論文で検索しているとよく見掛けます(沸騰までの時間、温度を保つ時間は論文により多少前後します)。でんぷんが水分をぐんぐん吸って膨らむ温度、そして、鍋のなかのどの米も芯までしっかり膨らむために必要な時間の長さ、大切ですね。それが、「20分」。「95℃、20分キープ」。実験を重ねて得られたデータのようです。95℃、わからんよ、、ともなりますが、水の沸騰が100℃なので、沸騰後のふつふつした熱い状態を蒸らし時間含めて20分保つ、、!のイメージです。「蒸らし時間含めて」、です。20分加熱するとたぶん底が焦げます。つまりは蒸らしもとても大切な時間なのです~~

そうなると、蒸らしの時間もいかに温度を下げないように、というのも大切になりますね。だからこそ、保温効果の高い、土鍋など美味しくふっくら炊ける、ともいえまっす!

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95℃を20分保つ。そうするとおこめのでんぷんがしっかり膨らむ。

さて、話を戻して。「95℃、20分キープ」はひとつのいい目安だなぁ。。!と思っていて。ここを理解してから、とにかく「一度しっかりと沸騰させる、、!!その温度を維持する!!!」を意識(沸騰したら95℃に達するため, また20分は本当に目安くらいで全然厳密にやってなくて。だから意識!くらいの、ね)。それからは、まぁ!!というほどに失敗(芯が残るご飯が炊けること)が減ったのです。やった~~~

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〇色々と時間を計測したり。その結果と。

何度か時間を計って炊いたのですが、「沸騰まで8分、温度を保ち7分、蒸らし10分」くらいが多かったです。7分、だったのは、もうその頃にはかなり水が減っていてもう少し続けると底が焦げるよ、、!という感じだったので。それでも美味しいです~。また、先日イベントでIHヒーターでもごはんを炊いたのですが、会場のヒーターはかなり強力な火力で(家で練習していた卓上IHヒーターのよりだいぶ)。沸騰までたぶん5分かからなかったんじゃないかな、、!(すぐにぼっこぼこ泡吹いて驚いた)。ちょっとあわあわしてて時間を計り忘れてしまったのだけれど、とにかく(((95℃20分キープ!!))))を意識して弱火加熱を続けました。沸騰までの時間は短くとも、こちらもとても美味しく炊きあがり、よかった~~~~!ほーーーっ。

沸騰まで8分という目安は、諸説あるのですが、おこめにほどよく吸水させながら温度を上げる、が多いのかな(他、酵素が分解して甘みを増加させるとか)。早すぎると、硬めに炊きあがりやすいかも、長すぎると表面がべとつきやすかも、という感じのようです。でも、5分くらいなら大丈夫みたいでしたた~。長すぎるのはダメでした。美味しくなかったなぁ。

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そうそう。はじめに出てきたキャンプでの豆ご飯の話。あれは後から考えてみると、その日は風が強すぎて火がうまく鍋に当たらなかったんですね。それで鍋は多少温まっているものの、しっかりと95℃くらいまで全体の温度を上げられなかったのだなぁと。熱不足でおこめの芯の部分まででんぷんがぐっと膨らむことができず、表面はなんとなくしっとりしているけど中心部分は硬いごはんになってしまった。

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みなさま!「95℃、20分キープ」、イメージしてやってみてね。

20分、はあくまで目安で、、!(わたしはもう少し短めでした)いろいろ試行錯誤してみてね。

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キャンプの時はしっかり温度が上がってなかったんだなぁ。

4. おこめの浸水

95℃20分キープと同じくらい大切なこと、「おこめの浸水」です。95℃20分キープをしても、浸水0分だとやはり硬く炊けやすい。浸水したか、しないかで炊き上がりが全然違う。浸水すると芯のあるごはんになりにくい!失敗しにくい!です。なぜかというと、いままでによく出てきているように、おこめのでんぷんはたくさんの数がぎゅーーーと詰まっている状態なのですね。そう、とても、、水が侵入しにくい状態であり。このまま火にかけてしまうと、ぎゅーーーーとでんぷんが詰まった状態のまま、外では水がぐらぐらっと沸いていくのですが、なかなかおこめの中心部分のでんぷんまで水が入っていけない ⇒ 炊きあがりは芯の硬いごはんになる。なのです。

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浸水はぎゅっと詰まったでんぷんに水を浸透させること

はじめに浸水させて、ゆっくりとおこめに水を浸透させる。そうすると、かたいでんぷんのあいだにも水がゆっくり入る。(水が浸入した証拠として、浸水させると半透明だったお米が白色になる。あれはみんなきれいに整列していたでんぷんが水が入ることによって整列状態がばらつきが出て。光の乱反射が起こり白く見えるだな(わたしの考察だけど!そうだとおもう))。この小さなひと手間があることで、火にかけた時におこめの内部まで水が浸透しているため、おこめの芯の部分まででんぷんの膨潤しやすい状態になる。上手にふっくら炊きやすくなる。浸水は、、やったほうが失敗なく、うまうまですーー。

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はい、30分は浸水すると良きです!1時間とかできるのであればもっと良きです。そう思います!

ああ、ちょうど新米の季節。新米がやわらかく炊きやすいのは、このでんぷんのあいだの水分がまだ残っている状態だから。だから芯までふっくらやわらかに炊けやすい。ごはんが美味しい季節ですね。うれしいなぁ~~。

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5. まとめ

美味しくご飯を炊こう~~に大切なこと

〇よく浸水(30分以上, でんぷんのあいだに水を浸透させる)

〇一度しっかり沸騰させる(でんぷんがよく膨らむ95℃まで温度を上げる)

〇弱火と蒸らし含めて、約20分、高温キープ(おこめの芯部分のでんぷんまでよく膨らむ目安の時間。目安だよー!)

です。わたしはここを注意してからキャンプでも上手に炊けるようになり。IHなど、はじめてのヒーターでも炊けるようになったよよよー!起きている現象をイメージできるようになるって、なんだか少し安心する。イメージをもとに次の作業を考える。火を弱めるのか、時間を長くするか、など。応用も考えられたり。おもしろいです。

色々とやってみてね。

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秋のおにぎりたち